「最近入った若手社員がいわゆるZ世代で何を考えているかがわからない」
「コロナで送別会や懇親会も減少し、2次会どころか1次会すら減っていて、今までのコミュニケーションの取り方が通じない」
「パワハラ・ロジハラなどのハラスメントを避けようとすると、うまく指導ができない」
コロナ禍後のマネジメント層や中間管理職によくある悩みですが、コロナ禍前とコロナ禍後で前提が変わったことを理解し、その前提に沿った方法を行えば、「関係性の良くなる部下との接し方」は誰でもできるようになります。
当原稿では、コンサルティングを行っている現場の状況を踏まえて、関係性をよくするための「部下との接し方」のコツを5つ紹介します。
コンサルティングのクライアントの皆様から伺ったり、コンサルティングの現場で気付いたことをまとめましたので、部下との関係性に悩まれている方はひとつでも意識的に行ってみてください。
まずは前提を理解する コロナ禍前と後の変化
コロナ前は毎週、部下と飲み歩き、プライベートの話や仕事の話を飲み会でしていたが、コロナ禍になってから一切できなくなった、そういう風に残念がる方もいますが、一方で飲み会がなくなったことで自分が実はそれほど行きたくなかったと認識される方もいらっしゃったようです。
コロナ禍前 | コロナ禍後 | |
コミュニケーション方法 | 業務中+飲み会 | 業務中のみ |
コミュニケーション手段 | 対面・メール・電話 | オンライン会議・チャット |
働き方 | 平日は深夜残業 土日出勤あり | 平日数時間の残業のみ |
公私の優先度 | 仕事優先 | プライベート優先 |
お金と時間の優先度 | お金優先 | 時間優先 |
よく言われることですが、「24時間働けますか?」がリゲインのキャッチコピーになっていた1990年代から、2020年代は子育て・家族を大事にすることが求められる時代になっています。
また、お金よりも時間を優先することが多くなっています。
・生活していくためにはお金が必要であり、お金を稼ぐためには会社の都合に自分を合わせるようにしないといけない。
・だから、仕事優先になるし、子育てで負担がかかっても自分含め家族にも多少の我慢は当然だ
という価値観から大きく変化しています。
・自分と家族が幸せになるために生活しており、そのためにはお金も大事だがプライベートの時間を確保しないといけない。
・だから、プライベート優先になるし、子育てを優先して早く帰るのも休暇を取得するのも当然だ
くいっぱぐれすることもない状態が当たり前になり、SNSやインターネットを介した様々な娯楽が存在するようになっていることも大きな要素と言えます。それがコロナによって顕在化しました。
いずれが良い悪いではなく、こうした時代背景の変化に合わせて、対応をしていくことがとても大事です。私の方が正しい!彼らが間違っている!ということを主張される方はそもそも関係性はよくなることはありません。
出世させてやるから自分の派閥に入れというようなマネジメントも通じにくくなっています。
関係性をよくするための5つのコツ
自分に合わさせるのではなく、変化に合わせる
こうした前提を踏まえると、部下との関係性をよくするためには、こうした外部環境の変化に即した対応を行うことが重要です。自分が正しいと考えている方に限って、部下との関係性が良くなりません。時代は変わっているにも関わらず、飲みに行けば、部下とのコミュニケーションが図れると思っている方は要注意です。
自分が正しいのではなく、現実が常に正しい、と考えること、そして、相手のことを想像することがコミュニケーションの肝です。
よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う
立川談志
現実でうまく関係性を気付きにくくなっているのであれば、その現実に目を向け、変化していくと関係性は良くなるという心構えが求められます。
相手について傾聴し、共感する
特にコロナ禍の新卒入社された方に多いのが、オンライン会議ツール(zoom)が中心のコミュニケーションとなっていることから、直接、面と向かって「叱られること」を経験していない方が多いです。そのため、彼らは叱られることを避ける傾向にあります。
また、一度大きく叱られたりすると、その経験から叱られることに対してネガティブな印象を抱き、耳をふさいだ状態になります。そこから、心理的にも物理的にも距離を置くことになります。
特にZ世代の方々には、叱ることは避け、共感することが何よりも重要です。彼らがどういったことを嬉しいと感じたり、楽しいと感じるのか、仕事でやりがいを感じるときはどういったタイミングかをone on oneミーティングなどを行いながら、把握していくことで徐々に心を開いてきます。
「ただね、それは違うよ」「君が言うのはあくまでも理想論だよ」など、意見に対して相手が間違っていると明確に伝えると、伝えられた方は意見を言わなくなります。
とにかく、否定はせずに共感してあげてください。
部下を褒める時はみんなの前で褒め続ける
「褒める時はみんなの前、叱る時は1対1で」とよく言われることですが、なぜこれが重要なのでしょうか。理由は、感謝の気持ちやねぎらいを伝えることで組織の雰囲気が良くなります。ですから、1個人のパフォーマンスを上げることというよりも、上司が部下をみんなの前で褒めることで、褒め合うことが良しとされる文化が醸成されるためです。そして、この褒め合う文化であったり、雰囲気が心理的安全性を高める結果となり、上司と部下の関係性が良くなります。
このことを理解していない上司が、たまに思い出したようにみんなの前で誰かのことを褒めたところで、何の効果もありません。たまに褒めるのではなく、褒め続けるようにしてください。
個人で褒める時は、価値観を褒める。叱る時は行為を叱る
常に、皆の前で褒める場面ばかりではないでしょう。個人で話をする時のコツをお教えしますと、それは「価値観」について褒めてあげることです。
例えば、Aさんがクライアントから大型契約を取ったとすると、「Aさん、こんなに大きな大型契約を獲得してすごいね」と褒めるのも悪くはないですが、「Aさんのクライアントへの諦めずに粘り強い対応をしようとした仕事への姿勢がすごいね」と褒める方がAさんからすると、「この人は自分のことを分かってくれている」と感じるわけです。
そして、叱る時は行為を叱るようにしてください。
例えば、Aさんの確認不足で、今週金曜日に到着予定だったクライアントへの納品物が、来週金曜日に到着で発注してしまっていた場合だと、「発注ミスをするなんてありえないし、仕事への姿勢自体が理解できない。私が新人のときだったら・・・」といったのは最悪です。望ましいのは、「クライアントに大きな迷惑をかけており、確認不足だったことはしっかりと反省して欲しい。確認不足で事故に繋がりそうなことやそのこの案件以外にも生じうるミスを起こさないようにする対策は何か」といったイメージです。
コミュニケーションは平等ではなく、公平に接する
部下によってコミュニケーションの頻度ややり方を変えるのは良くないと考えている方がいらっしゃいますが、これは間違いです。個人によってコミュニケーションを変えなければなりません。
なぜなら、個人によって育ってきた環境が異なり、経験・価値観も違うため、個人個人で何がどう解釈するかがわからないからです。
例えば、新卒3年目のAさんは叱られる経験がほとんどない方で、中途7年目のBさんは前職で褒められる文化が無く仕事では叱られるのが当たり前という方では、同じような褒め方・叱り方をしてもいずれにも同じ効果は期待できません。Aさんには、「Aさん、今回のプロジェクトの報告会資料がクライアントから好評だったよ、とても助かったよ。ただ、会議直前に資料を先方に送ったのは良くないから、今度から3日前に資料を送付できるようにしようね。」
Bさんには「Bさん、報告会資料ありがとうございました。今度から3日前には資料を送付できるようにしてほしいですが、資料自体の出来はとても好評でしたよ。さすがBさんですね。これからもお願いします。」
注意の仕方だけでも人によって変えなければ、褒めるのが先、叱るのが後だと一律で対応するのはとてもナンセンスです。
あくまでも部下に良いパフォーマンスを発揮してもらうことです。そのための方法が果たしてそれで良いのかが重要です。
思い込みはいけないため、コミュニケーションの頻度や密度を高めることで相手が何を大事にしているか価値観を理解していると、相手も認識してくれることが重要です。
まとめ
今回は、「どんどん関係性が良くなる!?部下との接し方の5つのコツ」について解説しました。コロナ禍でビジネスマンを取り巻く環境が大きく変わりました。環境に合わせたコミュニケーション方法が重要です。
以下の記事では、「●●」について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
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